コラム: 6月17日現在の候補者状況
昨日6月16日、第204回通常国会が閉会しました。終盤では、立憲民主党や日本共産党、国民民主党などの野党が内閣不信任決議案の提出を検討しました。対して、政権与党である自由民主党幹事長の二階俊博氏 (和歌山県第3区) が「(出されたら) 直ちに解散します」と牽制した (時事通信社、6月7日) ことで、解散の可能性も囁かれました。しかし結局は、不信任案が提出され否決されても、首相は解散しませんでした。したがって、次の衆議院選挙は秋となることが確実視されています。
6月16日 | 第204回通常国会 閉会 |
6月25日 | 東京都議会議員選挙 告示 |
7月4日 | 東京都議会議員選挙 投開票 |
7月23日 | オリンピック開会 |
8月8日 | オリンピック閉会 |
8月24日 | パラリンピック開会 |
9月5日 | パラリンピック閉会 |
9月30日 | 自由民主党総裁の任期満了 |
10月21日 | 衆議院議員の任期満了 |
本日6月17日、時事通信社は「衆院選、853人が立候補準備 任期満了まで4カ月」という記事を公開しました。具体的な数字が掲載された素晴らしい記事ですが、具体的な選挙区については掲載されていません。この記事で触れられている選挙区は、今後さらなる動きが起こる可能性の高い、注目の選挙区です。せっかくですから、この記事を引用しつつ、具体的な現況をまとめておきます。
自民党内の公認争い
全289選挙区に対し、自民党は273選挙区で擁立にめどが付いたが、このうち北海道7区など7選挙区では2人が公認獲得を争う。選挙区ページで塗り方を政党モードにし、自民を選択した時に黒色になる選挙区が、該当する選挙区です。
- 北海道第7区: この選挙区で前回当選した現職・伊東良孝さんは、2009年から4回連続で当選し続けています。しかし、前回比例北海道ブロックで当選した鈴木貴子さんも出馬の意向を示しています。ちなみに、鈴木貴子さんの父は日本維新の会の現職の参議院議員・鈴木宗男さんです。
- 群馬県第1区: この選挙区で前回当選した現職・尾身朝子さんに加え、前回比例北関東ブロックで当選した中曽根康隆さんも出馬の意向を示しています。ちなみに、中曽根康隆さんの祖父は元首相の中曽根康弘さんです。
- 新潟県第2区: この選挙区の現職・鷲尾英一郎さんは元民主党議員でしたが、前回は無所属で出馬し、自民党の細田健一さんを破って当選しました。そして2019年に自民党に入党しています。こうした事情で、2人の自民党議員が立候補を目指している状況です。
- 徳島県第1区: この選挙区で前回当選した現職・後藤田正純さんに加え、前回比例四国ブロックで当選した福山守さんも出馬の意向を示しています。
- 高知県第2区: この選挙区で前回当選した現職・山本有二さんに加え、前高知県知事の尾﨑正直さんも自民党からの出馬を目指しています。
- 福岡県第5区: この選挙区で前回当選した現職・原田義昭さんに加え、県議の栗原渉さんも出馬の意向を示しています。
- 鹿児島県第1区: この選挙区では前回、保岡宏武さんが出馬し、立憲民主党の川内博史さんに敗れています。一方、宮路拓馬さんは前回比例九州ブロックから単独で出馬し当選した議員です。両者とも出馬の意向を示しています。
自民・公明の候補者が決まっていない選挙区
公明党とすみ分ける9選挙区を除き、公認予定者が決まっていない空白区は七つだ。
自民党と公明党は今回も強固な選挙協力関係を築いており、競合区はありません。一方、両党の空白区は現在9区あります (時事通信社の記事はおそらく北海道第2区・栃木県第2区を除いているものと思われます)。
- 北海道第2区: 道支部は高橋祐介さんを候補に内定しており (毎日新聞、6月5日)、間もなく党本部も公認するものと思われます。
- 栃木県第2区: 県連が五十嵐清さんを公認予定に決めており (毎日新聞、6月5日)、党本部に公認申請中です。ただし異議も上がっているため、党本部の判断に注目です。
- 東京都第9区: 前回当選した菅原一秀さんが不祥事により離党・辞職しています。
- 東京都第15区: 前回当選した秋元司さんが不祥事により離党しています。収賄などの疑いをもたれていますが、無罪を主張し、出馬の意向を示しており、選挙までに有罪とされて公民権が停止されることがなければ、出馬が可能です。離党後も二階派に所属していることから、自民党の対応が注目されます。
- 神奈川県第1区: 前回当選した松本純さんが不祥事により離党しています。
- 三重県第3区: 現在立憲民主党の岡田克也さんが8回連続で当選し続けている選挙区です。
- 三重県第4区: 前回当選した三ッ矢憲生さんが体調不良を理由に引退の意向を示しています。
- 奈良県第3区: 前回当選した田野瀬太道さんが不祥事により離党しています。
- 大阪府第8区: 前回当選した大塚高司さんが不祥事により離党しています。
現職が不祥事により離党している選挙区が目立ちます。離党した議員は今後の進退を決めていない議員が多く、出馬するのかしないのか、もし出馬するなら自民党の支援を受けるのか、無所属で出馬するのか、自民党は別の候補者を出すのか、といった点に注目です。
立民・共産の競合
野党では、立憲が208選挙区、共産党が123選挙区で候補者を固めたが、両党は67選挙区で競合している。
これはあまりに多いので、ご自身で確認してください。選挙区ページで塗り方を政党モードにし、立民と共産を選択した時に黒色になる選挙区が、該当する選挙区です。
日本共産党は、実は立憲民主党の現職がいる選挙区にはほとんど擁立しておらず、ある程度の配慮をしています。しかし、新たに一本化すれば勝てる見込みのある選挙区も少なくありません。今後の選挙協力の行方に注目です。
立・国・社の競合
立憲は国民と3選挙区で、社民と2選挙区でそれぞれ候補者がぶつかっている。
立憲民主党と国民民主党が競合している選挙区は、次の3つです:
立憲民主党と社会民主党が競合している選挙区は、次の2つです:
立憲、共産を合わせた4党の候補者がいないのは10選挙区ある。
立憲民主党・日本共産党・国民民主党・社会民主党の4党のいずれも候補者を出していない選挙区は、次の11選挙区です (時事通信社の記事はおそらく埼玉県第8区を除いているものと思われます)。
- 北海道第6区: 前回当選した立憲民主党の佐々木隆博さんが不出馬の意向を固めています。後継は指名されていませんが、旭川市の西川将人市長が有力と見られています (北海道新聞、5月12日)。
- 北海道第12区: 野党系候補の擁立が進むと見られています (毎日新聞、6月5日)。
- 岩手県第2区: 立憲民主党が、県連代表の小沢一郎さん (岩手県第3区) に一任し、6月中に決定するとしています (読売新聞、6月7日)。
- 山形県第1区: 調べた限りでは、特に情報は見つかりませんでした。
- 埼玉県第8区: 立憲民主党の候補者として、小野塚勝俊さんと、並木正芳さんの2人が名乗りを上げています (産経新聞、2020年10月22日)。ともに元職ですが公認には至っておらず、今のところ特に続報がありません。
- 茨城県第1区: 元希望の党所属の無所属元職・福島伸享さんが出馬する可能性があり、候補を立てないのかもしれません。
- 富山県第2区: 立憲民主党が擁立を検討しているという報道もあります (北國新聞、6月13日)。
- 新潟県第5区: 元新潟県知事の米山隆一さんが無所属で出馬します。野党統一候補となる見込みです (産経新聞、2020年11月27日)。
- 奈良県第3区: この選挙区では、まだ出馬に意欲的な候補者がいません。前回選出された自民党の田野瀬太道さんは不祥事により離党しており、今後の動向に注目です。
- 徳島県第1区: 無所属の仁木博文さんが立候補しており、先行きが不透明なものの、野党統一候補となる可能性もあります(朝日新聞、6月17日)。
- 山口県第4区: 前首相でもある自民党現職・安倍晋三さんが8回連続で当選し続けている選挙区です。れいわ新選組の竹村かつしさんが出馬すると見られますが、野党統一候補となるかはわかりません。
これから選考が進むと見られる選挙区と、野党統一候補が擁立されそうな選挙区があります。今後に注目です。
まとめ
この数ヶ月で各党の準備は進みましたが、未だ与野党ともに準備万端という状況ではありません。国会が閉会し、選挙まであと3, 4ヶ月となりました。これから様々な動きが見られることでしょう。
こうした選挙までの駆け引きを見守るのも、選挙の楽しみ方の一つです。本サイト Candidates2021 は、変わっていく情勢をしっかり追跡し、更新していきます。
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